麹は体で育てる

味噌づくりの命である「麹」

みそ造りは麹で決まると言っても過言ではありません。卑弥呼では、そんな、みそ造りの命ともいえる「麹づくり」を大正12年から伝わる伝統の方法で百余年もの間、ひたすら作りつづけてきました。昔ながらの製法で、肌で体でお世話する。そしてたっぷりの時間と愛情をかけて育て上げていく。だからこそ、強く、美しい麹ができあがるのです。

寝るのは朝6時半。3日3晩、つきっきりでお世話する。

麹造りには、繊細な温度・湿度調整が必要です。特に、深夜から明け方にかけては、気温の変化が激しいため、つきっきりで見守ります。「大丈夫かな?寒くないかな?」と、麹に手を当て、まるで子供も見守るかのように、温度管理を行います。
また、麹は固まりやすく、無駄なく発酵させるために、三日三晩「床もみ」と「手入れ」を行います。その量はなんと600kg。機械は一切使わず、使うのは手ひとつ。麹にはそれぞれ個性があるため、実際に手で触れて、麹を感じながら揉みほぐしていきます。この作業は三日三晩明け方まで行われます。

卑弥呼伝統の「古式室蓋製麹法」

床もみをおこなった麹を、一枚一枚木の室蓋に移し、石室の中で自然に発酵させていきます。自然の英知が詰まった石室は、まるで呼吸をしているかのように、室内の湿度を和らげ、麹の発酵を見守ります。麹造りに使われる、室蓋や石室は創業当時のまま。石室は麹を温かく見守るように、蔵の中の温度変化を和らげてくれます。長い間、使われてきた室蓋には、麹をおいしくするための菌が住み着き、麹をより深い味わいへと導いてくれます。

つきっきりでお世話した麹は、強く根を張り、たくましい。

手間ひまかけてお世話した麹は、菌がしっかりと室ブタに張り付き、逆さまにしても落ちる事はありません。